第9回両国アートフェスティバル2024『二次創作』 芸術監督:山根明季子
8/3/土~8/11/日
下町・両国を舞台にした音楽祭、両国アートフェスティバル(略してRAF)、ついに最終回となりました。
芸術監督に作曲家の山根明季子を迎え、掲げるテーマは「二次創作」。
「ポップ」「カワイイ」などのキーワードを操りながら、軽やかに鋭く現代消費社会への批評を続ける作曲家ならではの試みです。
ピアノ音楽を中心とした3種類のコンサートで、6日間にわたってテーマを深掘りします。
親しみやすい小空間で、またオンライン生配信を通して、世代・地域を越えて体験する“今”の音楽に耳を傾けてみませんか。
公演に寄せて
オリジナル、創作性。
2024年。既に数えきれないほどの楽曲が存在し、量産することもできるようになってきている。その一方で、近代的な芸術思想においては、唯一無二の音楽を音符でいちから書くことこそが作曲におけるオリジナルの軸であり、強い権限を持ってきた。
既にある楽曲や概念を何らかの形で意図的に使用する音楽に焦点を当てたのが、今回のフェスティバルである。テーマ名はポップカルチャーの「二次創作」に由来する。本フェスティバルでは、引用・選択・編集の可能性や面白さについて、ピアノのための作品という芸術音楽の視点から思索共有していく。持続可能性が問われる今においてオリジナルと言うとき、一体何がオリジナルで、創作性はどこにあるだろうか。
山根明季子(芸術監督)
【Program 1】
日時:2024年8月3日(土)19:00開演、8月4日(日)14:00開演
電子メディアを伴う楽曲を中心としたプログラムを構成しました。瞬く間にアップデートされていく電子機器の故障から生じるグリッチの様相に魅せられ、音楽を生み出してきたニコル・リゼー。ポスト・パンク・ムーブメントをピアノで再解釈する彼女の「めまいの海辺」とともに、サンプリングの創始者ピエール・シェフェール作品までを遡り実演し、人々に大きな(ポップな)影響を与え続けているメディアとアコースティック、芸術音楽との接続面をみていきます。
ピアノ、エレクトロニクス:林賢黙(イム・ヒョンムック)
8/4トークゲスト :柿沼敏江(音楽学)
曲目:
ピエール・シェフェール:ビリュード(1979)
梅本佑利:世界で最も有名なネズミ、ついにその檻から逃げ出す!(2024)
マーカス・フィエルストレム:ピアノ教本 #1(2014)
ベン・ノブト:もう一度言って(2022)
中島夏樹:アルファ/ビート(2016/2024編曲版委嘱初演)
ニコル・リゼー:めまいの海辺(2007)ピアノソロ
【Program 2】
日時:2024年8月7日(水)19:00開演、8月8日(木)14:00開演
実験音楽初期のレディメイドから「二次創作」を辿っていきます。既にある音楽や素材、概念の再分脈化に焦点を当て、本企画の委嘱となる新作までをお届けします。
特に演奏家による解釈や選択の比重が大きな楽曲として、1960年代より芸術運動フルクサスに参加しイヴェント、インターメディア、室内楽などを横断し活動を続ける塩見允枝子、ドローン音楽の巨匠であり音楽の根本より聴取の可能性を開き示すラ・モンテ・ヤング両氏のワード・スコア作品の上演を行います。
ピアノ:川崎槙耶、佐竹裕介
曲目:
塩見允枝子:遮られた音楽(2002)
塩見允枝子:グランドピアノの為のフォーリング・イヴェント(1991)
ラ・モンテ・ヤング:コンポジション1960 #13 (1960)
トム・ジョンソン:コードカタログより「3音コード」(1985)
ヨハネス・クライドラー:異質(2010/13)
パオロ・カスタルディ:スケール(1970)
山根明季子:イルミネイテッドベイビー(2015)
山根明季子:状態 No.3(2022)
山根明季子:ソロピアノのための新作(2024委嘱初演)
【Program 3】
日時:2024年8月10日(土)19:00開演、8月11日(日)14:00開演
音楽作品は一人の人生において全て聴くことができない程に存在します。そのような時代に生きるわたしたちは、既にある膨大な数の楽曲や権利制度の傍らでどのように創作を持続し展開しているのでしょうか。ブラームスによるバッハ作品編曲から始まる本公演では、今回の企画のために塩見允枝子によって書き下ろされた新作の初演、そしてポップカルチャー以降の西洋芸術音楽の世界で活動を行ってきた次世代の作曲家四人への新作委嘱を軸に、プログラムを構成しました。
ピアノ:大瀧拓哉、藤田朗子
曲目:
ヨハネス・ブラームス:バッハによるプレスト(1879)
エリック・サティ:官僚的なソナチネ(1917)
松平頼暁:連星(1990)連弾
塩見允枝子:遮られた夢(2023委嘱初演)
辻田絢菜:ソロピアノのための新作(2024委嘱初演)
中島夏樹:ソロピアノのための新作(2024委嘱初演)
灰街令:ソロピアノのための新作(2024委嘱初演)
梅本佑利:ソロピアノのための新作(2024委嘱初演)
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入場チケット(税込)6/1より受付開始:全席自由・定員30名
一般3,000円、学生・門天会員2,500円
予約専用フォーム https://x.gd/Rf8cj
電話/FAX 03-6666-9491(火曜日休館)
*未就学児の入場はできません。
*会員・学生チケットは、入場の際、会員証あるいは学生証の提示が必要です。
配信チケット料金(税込):1,000円 6/1より受付開始:各プログラム2日目の公演を配信します。
配信チケット受付:Paetix(ピーティクス)
【Program1(8/4)】http://ptix.at/dgMReX
【Program2(8/8)】http://ptix.at/kja0mV
【Program3(8/11)】http://ptix.at/z5UCKD
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主催:一般社団法人もんてん
協力:株式会社山石屋洋琴工房、ナヤ・コレクティブ
助成:
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[東京芸術文化創造発信助成]
芸術文化振興基金助成事業
問い合わせ:
電話/FAX 03-6666-9491(火曜日休館)
メール ticket@monten.jp(@は半角に直してください)
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経歴
山根明季子 Akiko Yamane ◉芸術監督・作曲
作曲家。1982年生まれ。京都市立芸術大学大学院修士課程作曲専攻修了。ブレーメン芸術大学派遣留学。西洋芸術音楽の場を軸に消費社会にまつわる過剰さや痛み、カワイイなどを扱い制作を続ける。作曲作品はこれまでにサントリーサマーフェスティバル、N響 Music Tomorrow、ワルシャワの秋、ムジカノヴァヘルシンキ、ミュージック・フロム・ジャパンなど国内外で上演、ショット・ミュージック株式会社より楽譜が出版されている。第20回芥川作曲賞、第75回日本音楽コンクール作曲部門(オーケストラ作品)1位、武生作曲賞2005入選など受賞多数。作曲活動の他、キュレーション(東京現音計画では資本主義をテーマに公演監修、持続音によるソーシャルインスタレーション「ハーモニーの部屋」、塩見允枝子「Performances & Visual Works 2021神戸」各企画、神奈川県民ホールCxC「山根明季子xジョン・ケージ」監修、「mumyo」設立&企画他)、パフォーマンス(国立国際美術館、あいち2022、のせでんアートライン出演他)、アミューズメント空間のフィールドレコーディングも行っている。
林賢黙(イム・ヒョンムック) Hyun-Mook Lim◉ピアノ、エレクトロニクス
主に現代音楽を演奏するピアニスト、パフォーマンスアーティスト。数々の作曲家と協働し、初演作品を演奏してきた。現在は東京に拠点を置き、韓国と日本を中心に、主にピアノと電子音楽のための作品の演奏を展開。また往年の電子音楽作品を現代のテクノロジーで蘇らせる活動も行う。www.hmlim.com
川崎槙耶 Maya Kawasaki ◉ピアノ
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校及び東京藝術大学卒業、同大学院修士課程修了。学内にて同声会賞を受賞。演奏行為の拡張と脱却、作品と演奏の新たな関係性をテーマに作品制作やコンサートの企画、ピアノ演奏、実験音楽のパフォーマンスを行う。制作・監督した演奏映像作品『ハレルヤ・ジャンクション』が「東京藝大アートフェス2022」にて優秀賞を受賞、澤和樹学長(当時)より演奏技術と構成、映像とのシンクロ性について高い評価を受ける。2011年~2013年度ヤマハ音楽奨学支援奨学生。
佐竹裕介 Yusuke Satake ◉ピアノ
京都市立芸術大学を首席卒業。同大学院修士課程を修了。フライブルク音楽大学へ交換留学。ロームミュージックファンデーションの奨学金を受ける。吹田音楽コンクール、宝塚ベガ音楽コンクール、神戸芸術センター記念ピアノコンクールに入賞。京都芸術祭新人賞を受賞。京都市交響楽団、京都フィルハーモニー室内合奏団、いずみシンフォニエッタ大阪等と協奏曲を演奏。NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」にソリスト及び伴奏者として出演。「ペトルーシュカ」(京響、 大フィル、兵庫芸文管)のピアノ・ソロを担当する。兵ブラストリオメンバー。「佐竹裕介先生の音楽講座」を継続開催中。
大瀧拓哉 Takuya Otaki ◉ピアノ
愛知県立芸術大学、シュトゥットガルト音楽演劇大学、アンサンブルモデルン・アカデミー、パリ国立高等音楽院で学ぶ。オルレアン国際ピアノコンクール優勝。ヨーロッパ各地で多くのリサイタルや音楽祭に出演。講師としてフランス各地の音楽院でのマスタークラスや、ソウル大学音楽学部でのワークショップを行う。2017年にデビューCD“ベラ・バルトークとヴィルトゥオージティ”をリリース。2019年東京文化会館でのソロリサイタルは「音楽の友」誌にて非常に高い評価を得る。現在東京を拠点にソロ、室内楽、協奏曲のソリスト、現代音楽のアンサンブルや初演など、多岐にわたる活動を行う。愛知県立芸術大学非常勤講師。
藤田朗子 Akiko Fujita ◉ピアノ
東京藝術大学音楽学部器楽科(ピアノ専攻)、パリ国立高等音楽院伴奏科、同音楽院第三課程室内楽科卒業。ピアノを播本枝未子、倉沢仁子、辛島輝治、伴奏法を山洞智、Jean Koerner、室内楽をGérard Buquet、Jens MacManamaの各氏に師事。ソロの他、各地の講習会等で公式伴奏をつとめ、室内楽・新曲初演で国内外の演奏家と共演、CD録音に参加。現代音楽セミナー「秋吉台の夏」、Festival「A Tempo」(仏)、軽井沢国際音楽祭、両国アートフェスティバル、南千住ぶらり下町音楽祭等に出演。東京藝術大学ソルフェージュ科及び共立女子大学非常勤講師。日本ソルフェージュ研究協議会理事。
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