第1回 両国アートフェスティバル2015【共通ページ】
7/31〜8/12


両国門天ホールの夏は、ピアノが2台になります。これから毎年。
下町・両国を舞台に新しい音楽祭がスタートします。
2015年は芸術監督に現代音楽ピアノ演奏の第一人者・井上郷子を迎え、50席ほどの小さなスペース・両国門天ホールに置かれた2台のピアノを中心に、3つのコンサートを展開します。
コンサートシリーズ『両国の2台のピアノ』では、様々な世代・地域の作曲家の作品を聴く2つのコンサートを実施。
また、南アフリカ共和国から迎えるピアニスト、ジル・リチャーズ渾身の演奏によるC.アイヴズの大曲《コンコードソナタ》が披露されます。
また関連企画として『サマーアカデミー』を開催。
親しみやすい小空間で、世代・地域を越えて体験する”今”の音楽に耳を傾けてみませんか。
3つのプログラム (詳細は各リンク先でご確認ください)
【プログラムA】7/31〜8/2 両国の2台のピアノ〜ジル・リチャーズを迎えて
【プログラムB】8/3 ジル・リチャーズが弾く《コンコードソナタ》
【プログラムC】8/10〜12 2台のピアノとアジアの若い作曲家たち
ディレクターからのメッセージ
現代を生きる音楽家たちは、音楽について深く考えることにより、さまざまな音楽のありかたを日々、模索し探求し続けています。言うまでもなく、私たちの音楽活動は、作り手(音楽家)と担い手(企画者、例えばホール)による継続の意志、そして聴き手との共感がなくては成り立ちません。両国門天ホールのような、ある意味で何でも試すことができ、継続することが可能な場所や機会は、真にクリエイティヴな音楽家や、特に若い音楽家たちにとって、必要不可欠な存在であると私は思っています。なぜなら、現代の、そして未来の芸術文化の行く末は、そういった若い世代の音楽家が、彼らの持つ力を十分に発揮できるかどうかにかかっていると思うからです。
さて、今年から「両国アートフェスティバル」が立ち上がることになりました。
これから毎年、夏の間、両国門天ホールにもう1台ピアノを設置します。第1回の今年のフェスティバルでは、2台のピアノを使ったコンサートを2つ、ソロコンサートを1つ企画しました。私はこれまでにも海外から多くの作曲家、演奏家をお招きしてきましたが、このフェスティバルでも、お客さまをお迎えします。
まず、南アフリカ共和国からピアニストのジル・リチャーズさんをお招きし、普段は耳にする機会が少ないと思われる南アフリカ共和国と日本の作曲家作品によるコンサートを、ジルさんと私とで行ないます。ジルさんと私は、2013年春、スイス、ツークで開催されたコンサート“3KlangTage Zug”で初めてお会いしました。そのときはそれぞれソロコンサートを行ないましたが、ジルさんが演奏した、チャールズ・アイヴズ《コンコード・ソナタ》は強く印象に残っています。ジルさんにはデュオのコンサートのほかに、この曲で一晩のコンサートをしていただきます。南アフリカ共和国といえば、最近また、政治的なことでメディアを賑わせることもありましたが、人々は変わらずに生活を営み、音楽家たちは怯むことなく活動を続けています。私たちには理解できない(どんなにか多くの)苦労がおありかと想像しますが、ケヴィン・ヴォランズ、ロバート・フォケンズ、アンディ-ル・クマロ各氏の作品とジルさんの演奏から、元気をもらえるのではないかと思います。コンサートでの新作をお願いしたひとり、樅山智子さんは地球上のあちらこちらで活動をされていますが、彼女は数年前、ジルさんとヨハネスブルクで共同制作をし、そのご縁で、今回、私たちのために新しい作品を創ってくださることになりました。日本からは、近年活躍めざましい渡辺俊哉さん、伊藤祐二さんの作品が新作です。2台ピアノ、連弾、ソロ、と楽しんで聴いていただけることと思います。
もうひとつは、私が信頼するピアニスト、藤田朗子さんと行なうコンサートで、若いアジアの作曲家にフォーカスを当てたものです。「若い」といっても、タイのシラセート・パントゥラアンポーンさんのように、既に相当のキャリアを積んでいる作曲家から、金ヨハンさんのような学生まで、様々な「若い」人たちの作品が集まりました。彼らの現在進行形の新しい音楽の取り組みがどのようなものか、そして秘めた底力を聴き手の皆さまには、温かくかつ厳しい目(耳)で、みて(聴いて)感じていただければ嬉しく思います。一方、ブカレスト在住のリヴィア・テオドレスク=ショケニアさん、ニューヨーク在住のロイズ・V・ヴィアークさん(おふたりとも女性です)はヴェテランの作曲家です。若い作曲家たちの溌剌とした音楽とともに、彼女らの余裕ある、おとなの音楽を楽しんでいただけましたら幸いです。
第1回 両国アートフェスティバル2015
芸術監督 井上郷子
井上郷子 Satoko Inoue
ピアニスト。東京学芸大学大学院作曲科修了。ムジカ・プラクティカ・アンサンブルのメンバーを経て、1991年よりソロ活動を始める。“Satoko Plays Japan”をはじめとする多くのリサイタルを行ない、特に、近藤譲ピアノ作品・全曲演奏やモートン・フェルドマン作品の演奏等で高い評価を受ける。海外では、ISCM(ルーマニア)などの国際現代音楽祭からの招聘をはじめ、アメリカ合衆国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、ルーマニア、アイルランド、トルコ、エジプト、アルゼンチンでソロリサイタルを行なうとともに、リール大学、カイロ音楽院、カリフォルニア芸術大学などのマスタークラスで講師を務める。2008年よりコンサート・シリーズ“Music Documents”(東京)を企画・制作、年3回のコンサートを継続している。ソロCDアルバムとして、これまでにHatHut Records(スイス)、Edition Hundertmark(ドイツ)、ALM Records(日本)、Emec Discos(スペイン)から計6タイトルが出版されている。第10回佐治敬三賞(サントリー芸術財団)受賞。現在、国立音楽大学教授
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関連企画「サマーアカデミー」の情報は以下リンクから!
【サマーアカデミー1】第5回 杉山洋一による指揮ワークショップ~中級編
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主催:一般社団法人もんてん
企画協力:nothing but music
助成:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団
協賛:株式会社山石屋洋琴工房